虹とカカオとpumpkin

アイドルオタクの独り言。

「武道館」を読んだ。

朝井さんの作品は割と読んでまして。今回はアイドルが主人公ということで楽しみにしてました。どんな内容なのか他の人の感想やあらすじを一切頭に入れないで読みました。

ネタバレ注意!

作家さんって本当に不思議なんだけど、何で本人じゃないのにこんなに気持ちが分かってるの!?ってよく思わされます。
男性が描く女性とか小説家が描くアイドルとか。アイドルが描く小説とは違う驚きです。
絶対経験したことないはずなのに、ありそう!って思える所は流石プロですね。今回の作品では実際のアイドル、芸能界で起きた事が名前は伏せてありますが出てきます。会いにいけるアイドルの襲撃事件は主人公達が所属するアイドルグループにも影響を及ぼします。そういう装置(言いたいだけ)のおかげでよりリアリティを感じます。

私はジャニーズを応援している一ファンなので、アイドルのリアル、裏側を完全に知りたいとは思いません。むしろ、彼らが見せてくれてる王子様な姿が偽物でもいい演技でもいいと思っています。私たちの前でキラキラする姿を見せてくれれば、アイドルが恋愛をしていても良いです。

「武道館」では愛子と幼馴染みの関係や碧と菅野さんの恋が原因で結果的に目標としていた武道館ライブを前に脱退する事になります。アイドルは恋愛禁止なんて法律がある訳でもないのに、世間は噂話を勝手に広げて盛り上がり、自分の正義感とアイドルは清廉潔白でなければならないという価値観を振りかざします。私も自担のスキャンダルには凹みますが、友人とはきゃっきゃと恋バナで盛り上がります。アイドルってキラキラした輝きの中に閉じ込めてるものが沢山あるんでしょうね。
私が今こうして読書してブログを書く時間にもアイドルはダンスレッスンしたり、バラエティーの身体を張ったロケの収録をしたり、報道番組の原稿を確認したり、短編集出版に伴って改稿したり、私たちが一生経験する事のない物事に時間を費やしているのかもしれません。

この本を読んで、アイドルという制約の中で生きる人たちも私たちと同じにリアルを生きてる人間なんだよなぁ、と考えるきっかけになりました。
自担であるシゲさんは梅干し漬けたり、ストッキングの伝線してるのが良いと発言したり、ラジオで好きな映画を話すときに早口になったり、サブカル好きのお兄さんとしてリアルにいそう…なのに整った顔やお城みたいなステージで踊るアイドルな面を見ると二次元にしか存在しないと思わされたり。

どちらも同じように生きてるのに一部はアイドルとして見られ、その他はファンとして見るなんて不思議な関係ですね。


それと作品の中に、知りたい情報や映像を無料で手に入れて満足するって話があります。2013年の石田衣良さんのインタビューで触れられていた件で私の印象に強烈に残っていた事だったのでハッと思いました。(以下NEWSポストセブンより引用)
石田:去年、朝井リョウ君(「桐島、部活やめるってよ」著者)と対談したんだけれど、朝井君のような23歳の若者と歳下の20歳ぐらいの人がまた消費態度が違うと話をしていた。朝井君の世代はまだかろうじてお金を出してモノやサービスを買うけれど、20歳ぐらいの人はまず「無料」でないか探す。あれば不便であっても、我慢して使う。有償にアップグレードすることはしない。もし無料で使えるサービス、モノがなければ諦めるというんですよ。そういう人たちが大人の世代になってきたら、どうなるんだろう。

 いま音楽家とかもなかなか食えない時代ですよね。YouTubeで無料動画だけみて満足している人も多い。でも適正なものにお金を払って、その作り手を大切にするって大事なことだと思います。いろいろプロの現場でちゃんと仕事をしている人を尊敬して、お互いの仕事に敬意を払うことが、回り回って自分を豊かにするんですよ。

自分自身この記事を読んで初めてこの事に気づいて、良いものにはお金を払おうと思いました。
だからアイドルにもお金をかけます。


話が全然まとまらず変な方向に行ってしまいましたが、シゲがこの本を読んだらどう思うのかな、というのが一番の感想でした(笑)